《開催レポート》 Fixinセミナー ~『まさか』を未然に防ぐ。世界基準の手技でアップデートするパテラ攻略の選択肢~
2026年6月5日・6日の2日間にわたり、品川にて『Fixinセミナーin東京』を開催いたしました。

今回のテーマは、日常臨床でも遭遇頻度の高い「パテラ(膝蓋骨脱臼)治療」。さらなる手技の深掘りを目指す先生や、海外の第一線で活躍する整形外科医の知見を吸収したいという、熱意溢れる15名の先生方にご参加いただきました。
講師を務めたのは、ヨーロッパを拠点に世界中で活躍しているDr. Jan HnizdoとDr. Jorge Leiteです。お二人の来日は今回で4回目ということもあり、既に面識のある参加者の先生も多く、会場は積極的な質問やディスカッションが飛び交うなど、終始活気に満ちていました。また、通訳は今回も久保田朋子先生にお務めいただき、専門的なニュアンスを的確に捉えた分かりやすい通訳が、参加者の先生方から大変好評を博しておりました。

1日目:欧州のスタンダード「ジグを用いたTPLO」
1日目のテーマは、前十字靭帯断裂やパテラ治療において重要な選択肢となる「TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)」および「TPLO-M」です。参加された先生方の多くは、すでに数多くの症例をこなしているエキスパートばかりでした。そんな経験豊富な先生方が熱心に聞き入っていたのは、単なる手技の手順ではなく「術式選択の圧倒的な見極め精度」でした。
- TPLOに加えてDFO(遠位大腿骨骨切り術)が必要になる症例をどのように見分けるべきか?
- 近位骨片にプレートが乗らないケースで、どのような骨切りを選択するか?
- TPLO-Mでは対応しきれない症例をどう見極め、どのような手術を追加するのか?
臨床で誰もが突き当たる高難度の疑問に対し、海外のトップサージョンならではの明確な基準が次々と提示されました。
さらに、アライメントを整える上で欠かせない「ジグ(Jig)」の重要性についても深い解説がありました。ヨーロッパではジグを使用するのがスタンダードとのことで、今回の実習は全てジグを用いて行われました。とりわけ注目を集めたのは、「Intrauma社のジグを独自に変形させ、より使いやすくアレンジする方法」のレクチャーです。「小型犬にはジグが大きすぎて使えない」と思い込んでいた先生方からは、「こんなアプローチができるのか!」と、感嘆の声が上がっていました。

2日目:DRDジグで挑む複雑な骨変形
2日目は、さらに難度の高い「大腿骨の変形矯正」へと駒を進めました。 通常の変形であればレールジグの使用で十分に対処可能ですが、問題は「骨片に対してピン1本で矯正するには不安定になってしまうような複雑な症例」です。 ここで講師陣が提示したのが、変形矯正デバイス「DRD(Deformity Reduction Device)ジグ」を用いたアプローチでした。

一見すると複雑で難解そうなツールに、参加者の先生方は興味津々。しかし実習が進むにつれ、複雑な3次元の変形を正確かつ確実にコントロールできるツールであることが分かると、「これは新鮮で面白い!」「非常に合理的だ」と、先生方から絶賛の声が上がりました。

普段の手術に活かせる「確実性」というエッセンス
2日間のセミナーを通じて、特に参加者の先生方の印象に残ったのが、講師陣が紹介した「世界各国の症例」のリアルな経験談でした。 その中には、「わずか数ミリの骨片のズレがきっかけで、複数回の再手術を経てようやく治癒に至った症例」の報告もありました。普段、何の問題もなく成功している症例の裏側にも、常に「まさか」という落とし穴が潜んでいる。トップサージョンが語るからこそのリアルな事例に、改めて手術の怖さと、1回で完璧に決めることの重要性を再認識させられました。 だからこそ、感覚に頼るのではなく、「正確な手術を行うためのツールを正しく使いこなすこと」が不可欠になります。それを実技を通じて体感できたことこそが、今回の大きな収穫となりました。
参加された先生方からも、「臨床に活かせる選択肢が広がった」「参加して本当に良かった」という心強いお声をいただくことができました。 2日間にわたり熱心にご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました。 キリカン洋行では、今後とも獣医療に関わる多様なニーズにお応えし、価値ある製品・実りあるセミナーをご提供できるよう尽力してまいります。